鱒之介ますのすけ
インタビュー
個性活かしたトリオ漫才で
前人未到の頂点へ
photo:King Chang
interview:King Chang & Y-Jet & Crazy-J
text & edit:Y-Jet
よしもとクリエイティブ・エージェンシー大阪所属。NSC大阪32期生のトリオ芸人。メンバーは左から、西村孝範(ボケ)、 梶川聖司(ツッコミ) 、上谷明慶(ボケ) 。高校時代の同級生であった3人が、卒業後それぞれ違う道を歩むものの、芸人という夢を叶えるべく再び集結。2010年4月にトリオが結成された。それぞれの個性を活かしたトリオ漫才で、夢の大舞台を目指す。
芸人を目指そうと思ったきっかけを教えてください。
西村 僕ら3人とも高校の同級生なんです。元々お笑いが好きで、高校時代は梶川とコンビを組んで、文化祭なんかで漫才してました。3年生のときに、高校生のお笑いNo.1を決めるイベント「M-1甲子園」に2人で出場したことがあるんですよ。けっこう自信あったんですけど、大阪予選でちゃんと負けました。
梶川 今ではいい思い出です。すごく楽しかったな。まあ、卒業後はそれぞれ違う道に進んだんですけど。お笑いとは全く関係のない。僕は大学に進学しました。
西村 僕と上谷は就職しました。彼とは住んでるところがすごく近かったんで、毎日ほど一緒にいました。あっ、ホモとかではないですよ(笑)。新コンビの誕生ってとこですかね。2人ともお笑い好きなんで話は合いました。やっぱりどこかに芸人を目指したいって気持ちがあったんですよね。でもなかなか踏ん切りがつかなくて。そんなこんなで4年が経ちまして、梶川が大学卒業って時期になったんです。
梶川 やっぱり夢を諦めきれてない自分がいました。苦労するのは分かってるんですけど、挑戦したいって気持ちが日に日に強くなってきてたんですね。2人に「卒業後どうするん?」って尋ねられ、「お笑い芸人なる!」って答えてました。
上谷 梶川の卒業ってのがちょうどいい節目だったんです。僕も本気で芸人目指そうと決心しました。最初はピンでいこうと思ってたんですけど…(笑)。
西村 2人が本気なら僕が断る理由はないですよね。そんときに実質上のトリオ結成です。梶川と漫才やってたときは結果は残せてなかったんで、何かインパクトがほしかったんです。そこで異色のボケの上谷が加われば、けっこういけるんちゃうかなって。僕がボケて、梶川がツッコんで、とどめの上谷の大ボケ……。僕の新旧のコンビが合わさった形になったんですが、このトリオで本気で上を目指そうって思いました。手始めに、僕の地元の兵庫で開催される、お笑いのアマチュア大会に3人で出てみようってなったんです。
上谷 予選は通って本選ではきっちり負けたんですけど、ちょっとは手応えみたいなの感じて、4月からNSCに入りました。大阪の32期生です。
いよいよNSCに入り、本格的に芸人としての第一歩が始まったんですね。群雄割拠の中だったとは思いますが、同期には誰がいますか?
梶川 大阪の同期はそんなメジャーになっている人はいてないですでけど、東京は多いですよ。花の15期って言って、「デニス」とか「マテンロウ」とか「西村ヒロチョ」、 他には「横澤夏子」や「ニューヨーク」などすごく豊作なんですよ。
大阪も負けていられませんね。ところでトリオ漫才ってすごく難しいと思うんですけど、長所と短所を教えてください。
西村 断然、弱みの方が多いですね。トリオって掛け合いがすごく難しいんです。2人やったら漫才中にアドリブ入れても流れで自然になるんですけど、3人の場合は間がおかしくなったりするんですよ。大事なところでかぶってしまったり…。長所は、心強いってとこですかね。本番前の舞台袖ってすごく緊張するんですけど、3人いたら誰かがしゃべってくれてたりするし、昔からの友達やし、すごく緊張がほぐれます。そういう時は、トリオで良かったって思いますよ。
3人いたら心強いもんですね。では喧嘩はあまりしないのでは?
梶川 喧嘩は全くしないですね。僕ら3人とも高校時代、同じ寮で一緒に生活してたんで、お互いのことは良く分かってるんです。だから仲はいいですね。
憧れている芸人さんは?
西村 『ごっつええ感じ』をずっと見てたんでダウンタウンさんは憧れです。
梶川 憧れというか神ですけどね。
西村 僕らは漫才中心なんですけど、ダウンタウンさんのコントには影響受けた部分はあります。『ごっつええ感じ』やったらシンプルに「世紀末戦隊ゴレンジャイ」が好きですね。
梶川 僕は「アホアホマン」とか。浜田さんのツッコミがすごく好きです。めっちゃ怒りながらドツく感じとかいいですね。けっこうそんなツッコミに憧れてたんですよ。ナイナイの矢部さんとか。すごくご自身のキャラと芸が合っていますよね。
西村 自分のキャラと合ってないことしたらウケにくいんですよ。梶川は割と激しいツッコミに憧れてたんで、1年目のときは、ただやかましいだけでしたね(笑)。
梶川 まだ、あんまり自分のキャラがつかめていなかったんです。憧れてるツッコミを、見よう見まねでやってただけでした。僕はけっこう普通っぽいのが自然体なんで、無理して違うキャラでいっても笑いがとれるわけないって分かりました。そういうのを経験して、今ではだいぶ自然なツッコミができるようになってきたんじゃないかな。
自分たちのキャラってすごく大事ですよね。西村さんは割と可愛いキャラでいけたり?
西村 僕が尖ったことを言っても、確かにウケないですよね。やっぱり自分にあったキャラで攻めないと。上谷なんかは、キャラそのままですよ。「こいつ何かおかしなこと言うてくれるやろ」感が出てるし、本人も期待通り変なことしか言わないし(笑)。
上谷 そんなことないですよ。僕はめっちゃ普通です。
梶川 いえいえ、あなたは“何か言うやろ感”は出てますよ。逆に普通のことは言わないんで、できる仕事は一番少ないかもしれないんですけど(笑)。
上谷 僕は多分コンビじゃ無理ですね…。
それぞれ違うキャラで、コンビにはない奥行きみたいなのが出てる感じがします。そういえば以前、「ロケミツ」というテレビ番組の「芸人ハガキリクエスト」の第一回に出演されましたが。
西村 応募ハガキが1000通を超えたらロケが決定するってやつです。でも、まあ1回目やったから集まりやすかったんですけど。今はだいぶ厳しいんと違うかな。
梶川 2回出演したんですけど、「バームクーヘン」の回は最高視聴率出したんですよ。まだ今でも抜かれてないと思います。
西村 一回目は「イメージトレーニングだけで記録は伸びるのか!?」ってやつやったんですけど、「ロケってめっちゃきついんや!」って実感しました。「100m走」「走り高跳び」「砲丸投げ」の陸上競技を、72時間のイメージトレーニングだけでいかに記録を伸ばせるかっていう企画やったんです。
上谷 72時間、箱詰めですから。部屋に時計しかなかったです。それで放送が15分ですからね。
梶川 やる前は、1、2時間だけカメラ回して、後は上手いこと編集するんかな〜とか思ったりしたんですけど(笑)。
西村 テープチェンジも1時間に1回変えてましたから。「そこまでやるの?」みたいな。200何本テープ変えて、放送は15分ですからね。芸人の厳しさを思い知らされました。…Read More